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トップページ > 日本お米紀行 > ~最新品種誕生ものがたり~熊本県/くまさんの輝き 極良食味米として知られる熊本県の主力品種ヒノヒカリの座も脅かす 県のフラッグシップ米として期待が寄せられる「くまさんの輝き」の実力とは?

くまさんの輝きは大器晩成型!? これからひと花咲かせる実力も

 平成28年11月、熊本58号は公募で寄せられた1238点の中から選ばれた、「くまさんの輝き」という品種名になった。「熊本で生まれたツヤ(輝き)の美しいお米」という意味のネーミングだが、くまさんの輝きはその名に恥じない特性を備えている。

稲の比較(左:くまさんの輝き、右:ヒノヒカリ)


・極良食味(特に粘りと光沢が良好)。
・高温障害にも強く、1等米比率が高い。
・丈がヒノヒカリに比べ7~8cm低く、倒伏しにくい。
・穂数が多く、収量性が高い(ヒノヒカリ比 107%)。
 また、熊本県の適地適作という考え方でいえば、適地は山麓準平坦地(標高100~300m)ということになる。
 食味に関しては、ヒノヒカリや森のくまさんの、ある程度の粘りはあるがサラッとした食感に対し、くまさんの輝きは粘り・甘み・旨みとも強く、食べた瞬間に「ガツン!」とくる濃厚さがある。同じ極良食味米ではあるが、明らかにヒノヒカリ系の食味とは違う、インパクトのある食味をもっているといっていい。そして、炊き上がりの見た目も名前の通り、キラキラと輝いて美しい。渡邊班長は「育成段階から、食味に関してはいいということで、残ってきたのだから当たり前」と胸を張って語っている。
 そして昨年度(平成28年)試験栽培されたくまさんの輝きは、参考出品ながら食味ランキングで特Aの高評価を得たのである。
「ヒノヒカリや森のくまさんとの差は歴然。食味試験を含め、いろいろな条件で食べていますが、食味に関しては群を抜いていると思います。また冷めても粘りが続き、おにぎりにしても差が出る」と木下も満足気に語る。

県産米戦略プロジェクトチーム会議


 平成29年にプレデビュー、30年に本格的デビューするくまさんの輝き。29年度の作付面積は36~37haに留まり、30年に関しても100~200haで調整中というから、けして大きな数字とはいえない。
「栽培に関しては、熊本県推奨うまい米基準を目指した良食味生産を図るため、品質基準、極端な多肥を避けるなどのガイドラインを設け、生産者を限定する形で進めたい。もちろん作付けを増やす方向では考えていますが、熊本県のフラッグシップ米という位置づけで、大事に育てたいと思っています」と、渡邊班長。
 ヒノヒカリと同じ中生で、適地も同じ山麓準平坦地域であるが、すぐにヒノヒカリに代る主力品種にしようとは考えていないようだ。
「まだまだこれからの品種。要件を緩めれば、パッと広がるかもしれませんが、トップグレードの品質を維持することを優先していきたいと思います」
 こう渡邊班長が語っているように、県としてはあくまでも慎重な姿勢を崩そうとはしていない。これに対し、育種担当者である木下研究参事は次のように語っている。

ロゴマーク統一米袋お披露目会


「くまさんの輝きは、自分の子どもの成長を見るようで心配ですが、あなたは大器晩成型。これからひと花咲かせてくださいという想い。15年間と育つのは確かに遅かったのですが、そこを乗り越えて素晴らしい才能が開花したのだから、1年や2年の遅れは関係ない。足元をしっかり固めて、着実に拡大の道を歩んでほしいですね」
 もちろん熊本県農業研究センターとしても、実証圃場を使って栽培方法などを研究。また適地を広げる可能性を検討していることはいうまでもない。自らが苦労して育てた子どもだからこそ、より大きく成長していくことを望んでいるのであるから……。そして、彼女はこう続けている。
「力は十分にあるので、あとは生産者にお任せしたい。みんなで育て上げるという気持ちが大事だと思います」と。
 販売に関しては、熊本県では「くまさんの輝き販売戦略プロジェクト」を組織。ここを中心に県を上げての販売促進活動を展開する予定だ。その第一弾ともいえるのが、平成29年12月9日からの熊本県下での一斉販売に合わせた、地元出身の芸能人、ヒロシを使ったテレビCFとポスターの展開だ。

くまさんの輝き 一斉販売イベント


 まずは県内での認知と評価を高めたいという意図なので、残念ながら県外で目にすることはないが、ネットの一部ではすでに話題となっているという。
 来年のくまさんの輝きの本格デビューに向け、熊本県がどんな販促活動の展開を図ってくるのか? また、くまさんの輝きの食味が消費者にどのような評価を受けるのか、興味が尽きないのである。できれば、筆者などは首都圏では目にすることが少ない森のくまさん、くまさんの力も含め「くまさんシリーズ」として全国展開をしてほしいと思っているのだが……。

*文中敬称略、画像提供:熊本県農林水産部、熊本県農業研究センター、くまもと売れる米づくり推進本部

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