おにぎりの歴史は古く、弥生時代から始まったといわれています。
平安時代には「屯食(とんじき)」という名で貴族の宴の際に、
戦国時代には保存し携帯できる武士の「兵糧食」として食べられてきました。
そして江戸時代になると、畑仕事に出る際や行楽の弁当、旅のおともとして、
庶民の間にも浸透していったのです。
今、長い歴史に育まれてきたおにぎりが、その便利さやヘルシーさが再認識され、
最強のモバイルフードとして注目を浴びているのです。
お米のプロであるお米屋さんがやっているおにぎり屋さんでは、お米選びやごはんの炊き方、ごはんと塩や海苔、そして具材との相性、そして冷めても美味しい握り方など、こだわりがいっぱい詰まったおにぎりを提供しています。一度味わってみて、家庭で作るおにぎりの参考にしてみてはいかがですか。
心を込めて優しく握る、それは江戸前寿司職人に通じるものが! おむすび結庵本店(お米のふなくぼ/ふなくぼ商店)
「平成元年父の他界をきっかけにお米の世界に入りましたが、当初は、廃業も考えていたやる気のない米屋でした」というご主人の舩久保正明さんだが、あるきっかけを境に米屋としてやっていくことを決意。米の勉強を始め、フランス料理の料理人だった感覚を活かし、「ごはん」から見た美味しい食材としての米を探すようになり、さらには精米技術、目利きや炊飯にこだわるようになっていったといいます。
彼は米屋として、産地や銘柄より客の食の嗜好、ライフスタイルに合ったお米選びを提案。お客が、「お弁当があるので、冷めても美味しいごはんを食べたい」といえば、それに合ったお米を探し、炊き方などごはんに関わるノウハウをお米と一緒に提供しています。
そんな彼が、江東区佐賀町におにぎり屋を出したのは、平成15年のこと。米の備蓄倉庫前のスペースを使って、ランチのみのスタートでした。
「米屋だから美味しいと思われるのは嫌だったので、米屋であることを隠していました」とのこと。純然と飲食店として、認知されるものを目指したといいます。
産地を回りお米を選び、何度も納得するまで炊飯を繰り返し、寿司屋でシャリきりまでさせてもらい、生産から炊飯まで、お米のあらゆるノウハウを蓄積していった舩久保さんが握るおにぎりが不味いはずがありません。
おにぎり2個+おかず+味噌汁のセットは人気を呼び、ランチ時間帯の営業といっても実質11:30~12:30の間に完売し、並んでも買えない人も出たほどでした。
そして佐賀町から現在の場所に移ったのが、平成21年2月。また、前年に佐賀町の店の評判を耳にしたJRから、繰り返し東京駅構内エキュートへの出店依頼があり、ほぼ同時期(3月)にオープンすることに。
片や表通りに面しているとはいえ住宅街の米屋の一画での販売で1日100食程度の店、片や東京駅構内で1日数1000食を売る店。自ずと性格が違っています。エキュートでは、高圧ガス釜で炊飯した炊き立てのごはんをオーダーが入ってから握っていますが、本店ではそういうわけにはいきません。そのため、冷めても美味しく調整できる羽釜を選び、提供するようにしたのです。また東京駅では、お米は基本的にひとめぼれですが、本店ではおむすびスペシャルとして舩久保さん自身がブレンドした4種を、季節や気候に合わせ使い分けています。そこにも彼のこだわりと、プロのノウハウが感じられます。
また結庵のおにぎりは、両店とも海苔が別になっています。巻いた状態で海苔がしっとりした方が好きな人もいれば、パリパリした海苔の食感が好きな人もいる――これこそ、食べる側の嗜好を第一に考える、彼ならではの選択といえるのです。
■おむすび結庵のこだわり
- 海苔は、毎年新海苔の時期にテストをして選択。生海苔を店用に焼いてもらっています。
- 塩は粗塩に近い甘みを持った浜御焼き塩を使用。
- シャリのとり方一つにも細心の注意を払い、スタッフは熟練するまでの数カ月間は、提供するおにぎりは握らせません。
- 空気を抱き込ませるように、手で優しく握っています。コツはごはんのいい状態を「活き〆」することです。大きさは、ごはんが100gで、具材によって110~120gに。
- 一番人気のしゃけは、北海道時鮭を仕入れ、ていねいに骨抜きし、ふんわり焼き上げています。エキュート店では、1日に4本使用することも。
おむすび結庵本店
(お米のふなくぼ/ふなくぼ商店)
- 東京都江東区白河3-8-12
- 03-6458-5470
- 月曜~金曜10:00~20:00
土曜10:00~19:00 - 日曜・祝日
東京駅構内エキュート店
- 03-3211-8928