エネルギーを持つ三大栄養素、糖質・脂質・タンパク質には、それぞれに個性があります。
- 炭水化物 (糖質):
- 脂質やタンパク質よりも燃えやすく、速やかにエネルギーとなるので急激な運動時には最適な栄養素。
- 脂質:
- エネルギー量は糖質・タンパク質の2倍。エネルギーあたりの容積が小さく、水分をほとんど伴わず体内に取り込まれるので、貯蔵エネルギーとして最適。
- タンパク質:
- カラダの基になる栄養素。エネルギーとしては糖質や脂質が消耗した場合に使われます。
誤ったダイエット方法では、努力はすべて水の泡に!
上記の三大栄養素のなかでも、お米に代表される糖質は、通常最も多く摂取される栄養素。また他の動物と違い、脳が発達しているために、人間のカラダには、糖質がどうしても必要になります。なぜなら脳は、摂取した総エネルギーのおよそ2割を使いますが、糖質由来のものしかエネルギーとして使えないからです。
ふだんの生活で消費されない糖質の余剰分は、体内に取り込まれるときに、肝臓や骨格筋にグリコーゲン(糖質のエネルギー)として保管されます。グリコーゲンは、その質量の3?4倍の水分と結びつく性質を持っているため、ちょっと食べ過ぎてしまった場合、一見体重が増え、太ったのだという誤解を受けます。しかし実際には、糖質が脂肪になる(体脂肪を増やす)ことはほとんどありません。
逆に、食事の質や量を減らしたり、食事替わりに簡単なサプリメントを摂ったりするだけだと、食欲が満たされずに、カラダはいつもお腹の空いた状態??「飢え」を生みます。その状態が続くと、カラダはやがてくるかもしれない生命の危機に備えて、基礎代謝量(生きていくために必要なエネルギー消費)を下げます。なぜなら、少量の食事でも生きていけるように備えるからです。
基礎代謝が下がったからといって、脳や心臓の活動レベルを急激に落とすわけにはいきません。そこでカラダは、保管されていたグリコーゲンを非常食として使い、脳の栄養をまかなおうとします。そのときに、3?4倍にあたる水分も同時に脱水されるため、見かけの体重は4倍近く減少し、「やせた!」と錯覚させるのです。
「やせる=体脂肪が減る」「体重が減る≠体脂肪が減る」。これを、しっかりと覚えてください。
ほぼ絶食に近い1日405Kcalの超低エネルギー食ダイエットを4日間続けた実験では、「減った体重の3?4kgが水で、体脂肪はごく僅かしか消費されなかった」という結果が出ています。
そして再び食事をしっかり摂ると、飢えたカラダはようやくありつけた栄養分を逃しません。カラダは優先的に、3?4倍近い水分とともにグリコーゲンの結合をはじめ、すぐに体重は元に戻っていきます。またその際、カラダは、脂質を飢えに備えるエネルギーとして、もっとも燃費の良い(なかなか減らない)脂肪として、筋肉の失われたお腹や二の腕、あごの下に保存するのです。
これこそが、リバウンドのメカニズムであり、リバウンドすることは、「本当にやせた=体脂肪を減らせた」わけではない、という証拠でもあります。
さらにリバウンドは、以前より太りやすくやせにくいカラダにしていきます。そして一見スリムでも、実はたるんでいるという「隠れ肥満」状態を作り上げて行くのです。
誤ったダイエットは、その努力をすべて水の泡にしてしまうだけでなく、自分のカラダに悪影響すら及ぼしかねません。