「新米」という幟やシールを見るだけで、テンションが上昇!
――ごはんを食べる環境だけでなく、どのように調理されるかを知ることも大事なんですね。『ごはん彩々』でおにぎり教室を行なったとき、子どもたちの目の輝きが違っていましたから。ところで皆さんは、新米に対してどのようなイメージを抱いていますか?
山下 甘み、ツヤ、食感が違いますね。特に新米は、自然な甘さが魅力的なので、そのままでもいいですし、昆布やゴマ塩、タラコなど、シンプルなおかずで食べるのが大好きです。
神田 新米はツヤがあるし、瑞々しくて甘い香りすら感じます。「新米」というシールを見ただけでテンションが上がってしまうから不思議。あ~あ、イクラ(今年は高価で買えない!!)をドバーッと乗せて食べたい。
あとは、卵かけごはん+ニラだれ……新米のホカホカごはんは、何をおかずにしても美味です。
鵜飼 私も「新米」と書いてあるだけで、思わず手が伸びてしまいます。今年の一番の運気をつかむみたいな気分で、新米を優先的に買いますね。そして、新米を炊くときは、水分もしっかりあるので、あまり水に漬けずに炊くように注意しています。個人的には、明太子や白菜の漬物などで、ごはんを巻くようにして食べるのが大好き。
丸山 昨年と違って、私も新米のディスプレイを見たり、ニュースを聞いたりすると、「ごはんが美味しい秋が来た~!」と感じるようになりました。せっかくの新米、できるだけ炊き立てを家族で食べるようにしたいですね。
山口 若い頃、カナダの大学院に留学していたのですが、秋になって「何かものたりない」と、感じることが……よくよく考えたら「新米」の文字を街中で見かけないからだと気付いたのです。その時、自分が日本人であり、いかにお米と共に生きていたかを、あらためて実感しましたね。当時、カナダでもカルフォルニア米は普通に売られていましたが、一番高いものを買っても、甘みとか旨みが感じられませんでした。カナダ産の肉は美味しかったので、日本人が集まるとしゃぶしゃぶやすき焼きはよくしましたが、「あ~あ、おいしいごはんを食べたい」と、ズッと思いながら、カナダ時代を過ごしました。
丸山 ホント、日本のお米は美味しい。私も、あらためて昨年実感しました。ちょっと遅かったかな(笑)。
山口 私は毎年、新米を山形の老舗酒蔵が作る「あけがらし」というピリ辛のごはんのおともでいただくのが、私の至福の時間となっています。
神田 結局、新米はごはん自体美味しいから、塩むすびだったり、シンプルなおかずだったりに落ち着きますね。
どれもが美味しい新米ですが、その評価は人それぞれ。
各家庭の食生活事情によって、何を評価基準にするかが分かれました。
――ここで参加者の皆さんには、実際に食べ比べのために用意した4種類の2017年産の新米を食べてもらうことに。食べ比べは、食味評価を行う4色(赤、黄、青、緑)のマークがついた皿に、それぞれ炊き立てのごはんを盛り、「見た目(つや)、香り、硬さ、粘り、甘み」の5項目で、それぞれ評価を記入してもらいました。5点が「とてもある」、4点が「ある」、3点が「どちらともいえない」、2点が「あまりない」、1点が「ない」という採点基準での評価。4種類の新米はA・黄(青森県産青天の霹靂/特別栽培米)、B・青(新潟県産コシヒカリ)、C・緑(富山県産ミルキークイーン)、D・赤(山形県産つや姫/特別栽培米)、でしたが、先入観を持たないようブランド名も知らせなかったことで、参加者の皆さんはゲーム感覚で、食べ比べを楽しんでいました。
各参加者の評価は、以下のようになっています。
座談会参加者の食べ比べ結果(平均)
青森県産青天の霹靂(特別栽培米)
新潟県産コシヒカリ
富山県産ミルキークイーン
山形県産つや姫(特別栽培米)
これらの採点は別にしてブランド名を明かさず、「いちばん美味しいと感じたごはんのマークの色」を聞きましたが、昨年は、一つの銘柄に人気が偏りましたが、今年は人それぞれによって、好きな銘柄が異なりました。鵜飼さんの「どれもが美味しかったですよ」という意見が、正直な評価だったのかもしれません。
――実際に4種類を食べ比べてみて、それぞれにどんな感想をお持ちになりましたか?
――同じ4種類の新米を食べたわけですが、評価の基準も、感じ方も違うことがよく分かる結果になったと思います。
鵜飼 4つとも美味しかったですよ。私の好み的にはミルキークイーンで、おにぎりにして食べてみたいなと思いました。主人が好きな肉とか揚げ物に合うかなと思ったのが、もっちり感があったつや姫ですね。
神田 私的には今回食べた中では、一番あっさりしていると感じたつや姫が好きですね。5人で、トンカツ8枚を食べる家族ですから、ごはんは、ボリュームがあり味のしっかりしたおかずに合わせやすいものが基本になります。逆にミルキークイーンに関しては、ごはん自体がしっかりしていたので、丼ものにいいかなと思いました。ただ、うるち米らしからぬ独特の香りを感じました。けして嫌いな香りではないのですが……。
丸山 私はミルキークイーンが一番好きですね。青天の霹靂やコシヒカリは、噛めば噛むほどお米の味を感じましたが、ミルキークイーンは食べやすく、味が濃い目のおかずにも合うかなという感じ。ただ、和食と合わせるならつや姫かもしれません。
山口 私もミルキークイーンに同じ印象を持ちました。おかずと食べてもおいしいし、一粒ひと粒がしっかりしているので、パエリアなんかで食べてみたい気がしました。つや姫も全体的には好印象です。甘みがあとに残らないような感じがしましたが、明太子などをおかずに食べると、箸が止らなくなりました。
山下 食べ比べをしてみて、こんなにも味が違うんだと実感しました。私の基準としては、甘みが一番で、粘り、香り、硬さ、つやの順になります。その意味で、一番何が気に入ったかといえば、甘みが強いなと感じた晴天の霹靂になります。香りや硬さには若干もの足りなさは感じましたが、全体的にはバランスもとれていると思います。ミルキークイーンは、粘りは感じますが、甘みや食感にもの足りなさを感じてしまいました。