食べたいものを食べて、足りない栄養素をプラスが基本!
ごはんをモリモリ食べてやせる 伊達式食べ合わせダイエット
何かを制限するのではなく、自分の好きなものをしっかり意識することこそが、そのダイエットを成功に導くカギになっています。そして、主食にはごはんがいちばんのお薦めというから、ごはんファン必見です。
水分を抜けば、簡単に体重は落ちる!
しかし体脂肪を減らさなければ、やせない巷では、低炭水化物(糖質制限)ダイエットがもてはやされ、「ごはんを食べなければ、体重が減るじゃない」という風潮まで生まれています。
糖質を摂らないようにする(炭水化物を減らす)と、まず体内で糖にくっついていた水分が排泄されるため、短期間で体重を落とすことができるのも確か。でもこれは一時的なこと――「水分が抜ける=体重が落ちる」という現象に過ぎません。本当の意味でヤセるためには、体脂肪を減らさなければいけません。実際に糖質制限で一時的に体重は減ったとしても、制限を止めた途端にリバウンドして、体重が元に戻ってしまう場合も多いのです。
昔からお米を主食にしてきた日本人にとって、ごはんは非常に消化しやすく、身体を冷やしにくい食べもの。これは効率良くエネルギーを作り、体温や正常な代謝を保ったり、脂肪を燃えやすくしたりすることにつながります。ですから、ごはんは日本人のダイエットする場合にも、とても効率的な主食なのです。逆にごはんを制限してしまうと、身体が冷え、体脂肪を燃やしにくい、太りやすい体質になってしまうこともあります。
それこそが、ダイエットの敵!
ごはんを食べないことに、“頑張ってる感”を覚える人たち私自身、これまでに5000人以上の方々に食事指導を行ってきましたが、ごはんの食べ過ぎで肥満になった人は、わずか3人しか見たことがありません。
日本人の潜在意識には、古代からの食生活を通して、「銀シャリ(白米)はぜいたくなもの」という感覚が刷り込まれているのではないでしょうか。そのため、白米をお腹いっぱい食べることに罪悪感を覚える=「ごはんを節制することは美徳」という感覚が根付いているのかもしれません。
また日本人、特に女性の場合、ダイエットのモチベーションとして、「ラクしてやせてはいけない」という考えを持っている人が多くいます。そのためダイエット中の女性たちは、ごはんを制限したり抜いたりすることで、我慢して〝頑張っている〟と自分自身に言い聞かせている部分もあるのです。
しかし、私たちの身体は「何かを頑張って減らせば、その分やせる」という単純な引き算が通用するほど単純にはできていません。基本的には、その人がそれまでに食べてきたもので、身体はつくられています。そこに、生き方や心の状態、環境など、さまざまな要素が組み合わさって、いまのボディラインになっているのです。
ですから、今までの自分の食生活(食べてきたもの)を見つめ直すことが、ダイエットを含めた食生活の改善のベースになってきます。
自分がいま何を食べたいか?が分からない。
食欲という本能の衰えが!
私の提唱する「伊達式食べ合わせダイエット」は、引き算するのではなく、むしろ食べたいものを適量食べた上で、やせるための栄養素をプラスしていくダイエット(食生活の改善)。栄養素はたった一つだけで働いているわけではありません。三大栄養素+ビタミン、ミネラルなどが絶妙なチームワークで、効率良くエネルギーを作ったり、体調を整えたりしているのです。
もちろん好きなものを食べているだけでは、それらの絶妙なチームワークは生まれません。そこで、足りない栄養素を補う食べものを増やすことで、摂り過ぎていたものをトコロテン式に押し出し、栄養のバランスを整えることが、「食べ合わせ」の根本的な考え方になります。
ここで重要なのが、「食べたくないものは絶対に口にしない」ということ。しかし最近は、「自分が本当に食べたいものは何か?」が分からない日本人が増えています。「食べたいものが分からない」というのは、人間の三大欲求の一つである「食欲」という本能が衰えている証拠です。
まずは、この本能を取り戻す意味でも、自分の身体と心に「なにがいま食べたい?」と問いかけ、その時に食べたいものを食べるようにしましょう。「太るから!」「カロリーが高いから」などという理由でガマンしてはいけません。この「いま食べたいものは何か?」というベースがなければ、不足している栄養素を補うためのプラスαを何にするか? という足し算もできませんから。家族全員が食卓を囲んでいる姿は、とても微笑ましい幸せな光景ですが、基本的に、大人と子供は食べる目的が違いますから、大人は口に合うもの=身体に合うものを食べることが重要です。そう、「大人には大人の食育」が必要なのです。
大人の食育として、次の点を意識しましょう。
- ①良食は口に美味し→美味しいと感じるものが、その時の身体に必要な食べ物です。
- ②好き嫌いなく何でも食べなくてもいい。すでに成長が終わっている大人は、成長期の子供ほど何でも食べなくても大丈夫。「口にあわないもの=身体に合わないもの」をあえて食べる必要はありません。
- ③食べたければ真夜中に食事しても問題ありません。ただし次の日の朝は無理に食べないこと。食べたくない時、お腹が空いていない時は食べないのが大人。
- ④食事が身体の栄養なら、お酒やお菓子は心の栄養。本当に好きで、美味しいと思えるものを選びましょう。
- ⑤「動いて・食べて・寝る」が基本的な行動の流れです。運動するなら食事の前に。
ダイエットの目的は、やせる=体脂肪を減らすということですが、これには、たくさんの熱量(エネルギー)が必要です。しかし一般的には、「摂取カロリーを減らせば、やせられる」といわれ、低カロリー食品がもてはやされています。実は、これが逆にヤセなくなる原因にも。低カロリー食品は、ある意味「熱をあまり作れない食品」なのです。低カロリーなものだけを選んで食べたり、摂取カロリーを減らすことばかりを意識していると、それに合わせて消費カロリーを少なくするように身体が反応して、体脂肪を燃やしにくくなってしまいます。また、熱があまり作れないので、身体がドンドン冷えて、コリやムクミ、頭痛、生理痛、腰痛などの不調にもつながります。
そして摂取カロリーが少ない状態が続くと、脳は飢餓状態だと判断し、「エネルギー不足で生きていけなくなるぞ!」と節約モードに。消費するカロリーをさらに減らしてしまいます。つまり体脂肪が燃えにくく、蓄積されやすい状態に切り替わります。まさにこれが、「食べていないのに太る」という状態なのです。
人間は虫ではない。野菜ばかりの食事はNG。
ごはんをしっかりと。「肉や油も控えめにして、野菜中心の食生活をしているのにやせません」という相談を受けることが、最近多くなってきました。「野菜中心」というと、いかにも健康的なイメージですが、実は、これも行き過ぎるとやせにくくなる原因の一つに。
人間は虫でも、草食動物でもありません。人の身体に必要な三大栄養素はたんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)です。確かにビタミンやミネラルを含む野菜も大事ですが、それだけでお腹をいっぱいにすることは考えもの。野菜を中心に摂ることで、肉や魚の量が減り、動物性たんぱく質不足になったり、ご飯不足で代謝が下がることもあるからです。
さらに主食をごはんにすると、どんぶり物(+味噌汁+漬物)や一汁三菜の定食という組み合わせになるので、三大栄養素を摂りやすいというメリットもあります。
ともかく、まずは三大栄養素を優先して摂り、そこにビタミン、ミネラル、食物繊維をプラスする食生活を心がけることが大事になってくるのです。
ごはんを主食とする和食は、世界遺産にもなった素晴らしい食文化であり、世界に誇るダイエット食です。その美味しさの基本となる、ごはんと味噌汁、そしておかずの組み合わせで口内調味をしっかり味わい、その魅力を子供たちや海外の方にも伝えていきたいものです。
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静岡県浜松市生まれ
管理栄養士・日本抗加齢医学会認定指導士
戸板女子短期大学食物栄養科ゲスト 講師
日本工学院八王子専門学校スポーツカレッジ 講師
予防医療研究協会 参与
日本ダイエット健康協会 理事
JADA認定サプリメントエキスパート・睡眠エキスパート
10代からダイエットとリバウンドを繰り返し、摂食障害に。30代後半から、プラス栄養の食事を実践し、その後は体重・体型を維持している。
25kg以上のダイエットと摂食障害、ニキビ肌改善をした体験から、食べてやせる「プラス栄養メソッド®」に基づく食事法を提唱。メリハリボディと美肌、アンチエイジングを実現する食事カウンセリングを30年以上行っている。
◎公式ホームページ 心もうるおす管理栄養士 伊達友美 (dateyumi.com)