お米を購入する時に目にする精米日。今年の4月頃からスーパーの店頭では、精米日の表示が「年月日」から「年月旬」表示(○○年○月上旬/中旬/下旬)に変更になったお米を見かけるようになりました。お客さまからは、「手抜きしているひどい会社だ!」「新しい精米年月日のお米と交換してくれ!」等のご意見をいただくようになりました。
ごはん彩々では、精米日が「年月旬」表示に切り換わったことについて、農林水産省農産企画課の担当者(澤田係長/嶋田係長)にお話を伺いました。
これまでお米の精米日は、「年月日」で表示していましたが、2020年3月27日より、10日の幅を持たせた「年月旬(上/中/下旬)」表示もできるようになりました。具体的には、上旬が1日~10日、中旬が11日~20日、下旬が21日~月末までに精米した商品の表示になります。
(例)2021.04.01 → 2021.04. 上旬
これまで、精米した日付が古いというだけで廃棄されていたお米の削減につながることや、作り置きができるため販売店への配送回数の削減(配送コストの削減)につながる等、多くの議論を踏まえ「年月旬」表示の導入をすることになりました。
具体的には、一般的に精米日が新しい商品を購入する傾向があるため、十分に食べることができるのにもかかわらず、精米日が古いというだけで廃棄などがされていました。
また、米卸売業者は精米日を起点に少しでも早く販売店側に納品をすることが慣行となってしまっていたため、日ごとの少量配送が増加した上に、昨今のトラック・ドライバー不足が重なって、配送コストの増加や配送そのものが困難になりかねない状況であり、その分商品価格が上昇したり消費者の皆さまにも不利益が生じかねない状況となっていました。
精米日を「年月旬」表示にすることによって、過度な鮮度重視の商品管理、消費行動による食品ロスの削減が期待できることに加え、配送コストを抑えることができます。また、災害発生時における物流混乱時でも在庫の作り置きや調整がしやすくなり、災害対応能力が向上します。さらには、配送回数の削減や積載率の向上により、排気ガスの排出抑制につながり、環境負荷を低減することも可能となります。もちろん、携わる人すべての働き方改革の促進になります。
加工食品のうち、製造から賞味期限までの期間が3か月を超えるものは、年月表示が可能となりました。
具体的には、2020年10月30日時点で、▽菓子類(賞味期限180日以上のもの/不二家、ブルボン等)、▽嗜好飲料(インスタントコーヒー等/味の素AGF、賞味期限240日以上のPET、缶等/アサヒ飲料)、▽レトルト食品(賞味期限1年以上のもの/江崎グリコ)、▽調味料(賞味期限1年以上のもの/キッコーマン食品)、▽はちみつ(山田養蜂場本社等)―など、多くの企業が取り組んでいます。
表示方法の例:令和3年4月、3.4、2021.4、21.4
今回の表示改正は、物流合理化を実現し、精米の安定配送を将来にわたって維持していくだけでなく、SDGs(エス・ディー・ジーズ:持続可能な開発目標)※にも位置付けられた食品ロスの削減や環境負荷の低減につながるものです。精米の「年月旬」表示によって、精米日が幅を持った表示になりますが、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いします。
※「SDGs」は、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
お客さまから「今まで通り年月日の方が良いのでは?」というご意見をいただきますが、今回の取材を通じて、食品ロスの削減はもちろん、深刻化する物流問題の解決や廃棄ガスの削減等、「SDGs(持続可能な開発目標)」の観点からも、最終的にはお客さまのためになる将来を見据えた重要な改正であると実感することができました。
お米をご購入の皆さま、ぜひ「年月旬」表示への切替えにご協力をお願い申し上げます。
▼精米表示に関する農林水産省のHP >>>こちら
▼農水省の米の消費拡大情報サイト「やっぱりごはんでしょ!」 >>>こちら
▼ごはん彩々としての記事「お米の袋の表示を確認してますか?」 >>>こちら
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