お米の作り方、つまり稲を栽培して収穫する方法は、かつて日本人の多くが知っていました。しかし、農業従事者が少なくなった現在、詳しく知らない人も少なくありません。 今回は、そんなお米の作り方を詳しく解説します。
※お米には一般的な「水稲」のほか「陸稲」や、主食となる「うるち米」の他に「もち米」「酒米」、栽培方法にも「直播き栽培」と「移植栽培」などさまざまな分類がありますが、ここでは最も一般的な「水稲」の「うるち米」を「機械移植栽培」で行う作り方について解説します。
・田んぼを耕す「田起こし」
・水田の水が外に漏れないようにする「畦(あぜ)塗り」
・基肥という、稲に必要な栄養を土に加える「田すき」
・水を入れて田んぼを均一にし、土を柔らかくして苗の根が張りやすいようにする「代(しろ)かき」
稲刈りが終わったら、すぐに秋から冬にかけて稲わらをすき込む「秋耕」で下準備し、春に温かくなり始めたら、生えてきた雑草をすき込んで残渣を分解する「春耕」で田んぼを耕します。
畦塗りは泥土を塗るほか、畦畔シートを設置する方法でも構いません。また、基肥と元肥は同じ意味で、水稲には「基肥」の字が、園芸作物には「元肥」の字が使われます。
水を入れるには、地域によって整備されたパイプラインを使ったり、農業用水路から引いたりする方法があります。いずれも水を入れすぎず、田全体が軽く浸かる程度に。水を張った後は、土を柔らかくならすために「代かき」を1〜2回行います。
まずは、良い種もみを選ぶ「塩水選」です。うるち米の場合、比重を1.13に調整した塩水(水10Lに対し、約2.2kgの食塩)を作り、そこに種もみを入れて掻き回し、底に沈んだものを使います。
種もみには病原菌がついている可能性があるので、薬液やお湯に浸けて消毒しなくてはなりません。消毒後は水洗いせず、そのまま水に浸けて十分に吸水させる(乾燥したもみの25%以上の水分含有量となるように)「浸種(しんしゅ)」を行い、種からわずかに幼芽と幼根が発生した状態にしておきます。
種の消毒と発芽が済んだら、稲が苗になるまで育てるための「苗代(なわしろ/なえしろ)」に発芽した種をまきます。最初は苗代をトンネルなどで暗く密封しておき、出芽したら弱い光に2〜3日当てて「緑化」させ、トンネル内で徐々に自然環境にならす「硬化」まで、約1ヶ月程度が必要です。
この生育期には、雑草を除草したり、病害虫を防いだりする管理もしなくてはなりません。除草の方法には、以下のような方法があります。
・化学的防除…除草剤によるもの。最も一般的
・生態的防除…湛水状態にし、雑草が発生しにくくする
・生物的防除…アイガモを放して雑草を食べさせたり、カブトエビの攪拌行動で雑草を浮かせたりする
・機械的防除…手作業で抜いたり、除草機で表土を掻き回して雑草を浮かせたりする
病害虫防除のためには、抵抗性の強い品種を選んだり、消毒剤や忌避剤を使ったりするのが一般的です。
・深水管理…植え付け直後から活着するまで。5〜7cm程度にし、水の保温効果で苗を保護する
・浅水管理…活着後から分げつ期。2〜4cm程度にし、地温を上げて分げつ発生を促す
・中干し…分げつの発生がピークになる頃、水抜きして土表面に亀裂が出るまで7〜10日くらい干す
中干し後は、湛水と落水を数日ごとに繰り返す「間断かんがい」で水分の供給と酸素の供給を交互に行い、根をしっかり育てます。穂が出て開花する頃になったら浅く水を張り、熟す頃には再び間断かんがいを行い、収穫の1〜2週間前を目安として水を抜いて完了です。
「【米作りの乾燥工程について】乾燥させる理由とその方法を解説」の記事もぜひ参考にしてください。
乾燥させたらもみすり・精米後、出荷されて私たちのもとに届きます。
米作りにはどんな行程がある?
米作りは、その漢字を分解して「八十八の手間」、すなわち煩雑な作業と膨大な仕事量が必要とされます。機械化が進んだ現代でも、簡単な作業でないことはよく知られているでしょう。その工程には大きく分けて「土作り、種・苗の準備、田植え、管理と除草、追肥と水抜き、収穫・乾燥」の6つがあります。これらは次章でそれぞれ詳しく解説します。 ※お米には一般的な「水稲」のほか「陸稲」や、主食となる「うるち米」の他に「もち米」「酒米」、栽培方法にも「直播き栽培」と「移植栽培」などさまざまな分類がありますが、ここでは最も一般的な「水稲」の「うるち米」を「機械移植栽培」で行う作り方について解説します。
米作り方法、6つの行程
では、実際に米作りの方法について、6つの行程を詳しく見ていきましょう。
米作り方①:土作り
土作りとは、お米を植える前に田んぼを準備することです。 ・田んぼを耕す「田起こし」
・水田の水が外に漏れないようにする「畦(あぜ)塗り」
・基肥という、稲に必要な栄養を土に加える「田すき」
・水を入れて田んぼを均一にし、土を柔らかくして苗の根が張りやすいようにする「代(しろ)かき」
稲刈りが終わったら、すぐに秋から冬にかけて稲わらをすき込む「秋耕」で下準備し、春に温かくなり始めたら、生えてきた雑草をすき込んで残渣を分解する「春耕」で田んぼを耕します。
畦塗りは泥土を塗るほか、畦畔シートを設置する方法でも構いません。また、基肥と元肥は同じ意味で、水稲には「基肥」の字が、園芸作物には「元肥」の字が使われます。
水を入れるには、地域によって整備されたパイプラインを使ったり、農業用水路から引いたりする方法があります。いずれも水を入れすぎず、田全体が軽く浸かる程度に。水を張った後は、土を柔らかくならすために「代かき」を1〜2回行います。
米作り方②:種・苗の準備
移植栽培では種を直接田んぼにまくのではなく、別の場所で種から苗まで育ててから田んぼに植えつけます。まずは、良い種もみを選ぶ「塩水選」です。うるち米の場合、比重を1.13に調整した塩水(水10Lに対し、約2.2kgの食塩)を作り、そこに種もみを入れて掻き回し、底に沈んだものを使います。
種もみには病原菌がついている可能性があるので、薬液やお湯に浸けて消毒しなくてはなりません。消毒後は水洗いせず、そのまま水に浸けて十分に吸水させる(乾燥したもみの25%以上の水分含有量となるように)「浸種(しんしゅ)」を行い、種からわずかに幼芽と幼根が発生した状態にしておきます。
種の消毒と発芽が済んだら、稲が苗になるまで育てるための「苗代(なわしろ/なえしろ)」に発芽した種をまきます。最初は苗代をトンネルなどで暗く密封しておき、出芽したら弱い光に2〜3日当てて「緑化」させ、トンネル内で徐々に自然環境にならす「硬化」まで、約1ヶ月程度が必要です。
米作り方③:田植え
苗の根が絡み合って植え付けやすい状態になったら、田植え機で苗を植えていきます。このとき、土を落ち着かせるため、代かきから3日くらい経ってから行うのがポイント。苗の種類や品種特性、作業性によって植付密度は変わりますが、だいたい2〜3本を一つとし、1坪あたり50〜70株となるように植えていきます。
米作り方④:管理と除草
稲はまずどんどん「分げつ」で茎の数を増やしていき、幼穂ができる頃になると分げつの発生が止まり、伸び始めるという成長の仕方です。分げつには実るものと実らないものがあるので、実るものを「有効分げつ」、実らないものを「無効分げつ」と呼んでいます。 この生育期には、雑草を除草したり、病害虫を防いだりする管理もしなくてはなりません。除草の方法には、以下のような方法があります。
・化学的防除…除草剤によるもの。最も一般的
・生態的防除…湛水状態にし、雑草が発生しにくくする
・生物的防除…アイガモを放して雑草を食べさせたり、カブトエビの攪拌行動で雑草を浮かせたりする
・機械的防除…手作業で抜いたり、除草機で表土を掻き回して雑草を浮かせたりする
病害虫防除のためには、抵抗性の強い品種を選んだり、消毒剤や忌避剤を使ったりするのが一般的です。
米作り方⑤:追肥と水抜き
稲の生育状況に応じて、「分げつ肥」「つなぎ肥」「穂肥」「実肥」など、窒素・カリ・リン酸を適量、追肥として施していきます。また、生育時期に応じて田んぼに水を入れたり引いたりし、深さを調整する水の管理も重要です。 ・深水管理…植え付け直後から活着するまで。5〜7cm程度にし、水の保温効果で苗を保護する
・浅水管理…活着後から分げつ期。2〜4cm程度にし、地温を上げて分げつ発生を促す
・中干し…分げつの発生がピークになる頃、水抜きして土表面に亀裂が出るまで7〜10日くらい干す
中干し後は、湛水と落水を数日ごとに繰り返す「間断かんがい」で水分の供給と酸素の供給を交互に行い、根をしっかり育てます。穂が出て開花する頃になったら浅く水を張り、熟す頃には再び間断かんがいを行い、収穫の1〜2週間前を目安として水を抜いて完了です。
米作り方⑥:収穫・乾燥
田んぼがしっかり乾いたら、コンバインで刈り取りと脱穀を行い、乾燥させます。自然乾燥の場合は、鎌で刈り取ってはさがけしますが、刈り取りと結束を同時に行う「バインダー」を使う方法も。 「【米作りの乾燥工程について】乾燥させる理由とその方法を解説」の記事もぜひ参考にしてください。
乾燥させたらもみすり・精米後、出荷されて私たちのもとに届きます。
まとめ
米作り方法は米の種類や栽培方法によっても異なりますが、ここでは一般的な主食となるお米の作り方についてご紹介しました。機械化が進んだ現在でも、米作りは決して簡単な作業ではありません。農家が丁寧に作ってくれたお米を、今まで以上に大事に美味しく食べましょう。この記事どうだった?
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