うるち米ともち米の違い、うるち米の人気の品種を紹介

農林水産省のホームページによると、日本で作られているお米の産地品種銘柄は、23年度産でうるち米が928銘柄、もち米が137銘柄、醸造米(一般には「酒米」)が230銘柄あるそうです。うるち米とは、私たちが普段ごはんとして食べているお米のことです。もち米や醸造用の酒米とは、それぞれ特徴が異なります。今回はごはん用として栽培されている、うるち米について紹介します。

参考:農林水産省「日本でつくられているイネの品種の数を教えてください。」

うるち米とは?もち米との違い

うるち米ともち米にはどのような違いがあるのでしょうか。また、お米にはそれ以外にも種類があります。以下では、それぞれの特徴を紹介します。

うるち米とは

うるち米は、普段私たちがごはんとして食べているお米です。「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」などはうるち米の品種です。お米の大部分を占める胚乳が透き通っているため、半透明の見た目をしています。

うるち米ともち米との違い

もち米は、お餅やおこわ、お赤飯などに使われるお米です。見た目では、半透明のうるち米と比べて、白く不透明なのが特徴です。また、胚乳に含まれるでんぷんの種類もうるち米とは異なります。

お米にはアミロースとアミロペクチンという2種類のでんぷんが含まれています。うるち米は約8割がアミロースで残り約2割がアミロペクチンです。一方でもち米には、アミロースは含まれず、アミロペクチンのみで構成されています。

 

アミロペクチンには、炊くと粘りが出る特徴があります。そのため、もち米を炊くと粘りが強いごはんに炊き上がり、うるち米はふっくらとしたごはんに炊き上がります。

それ以外のお米の種類

日本酒を作る時に使われるお米を「酒米(さかまい)」(醸造米玄米)といいます。その中で心白と呼ばれ、白濁した中心部分が大きいのが酒造好適米です。このお米は、心白の内部は隙間が多く、内部まで麹菌の菌糸が入りやすい構造になっています。そのため、酒米は米麹を作るのに適し、日本酒造りに使われているのです。また、日本酒の雑味の元となるたんぱく質や脂質が少ないのも特徴です。

 

古代米は、昔の稲が持っていた特徴を受け継いでいるお米です。主に赤米や黒米が古代米と呼ばれています。赤米にはタンニン、黒米にはアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種が含まれていて、抗酸化作用があるといわれています。

人気のうるち米の品種と特徴

普段ごはんとして食べているうるち米には、900以上の銘柄があります。この章では、多く栽培されている人気の品種と特徴について解説します。

低アミロース米と高アミロース米

前章でうるち米ともち米の違いついて解説しましたが「低アミロース米」とは、うるち米ともち米の中間のお米です。アミロースの含まれる割合が低いと、粘りが強いごはんになります。

 

一般的なうるち米には、17〜23%のアミロースが含まれています。「ミルキークイーン」や「ゆめぴりか」、「ゆうだい21」などの低アミロース米のアミロース含有量は3〜17%です。低アミロース米は、粘りが強くモチモチとした食感で、冷めてもおいしいことから人気があります。

 

一方で、アミロースの含有量が25%以上のお米を高アミロース米といいます。高アミロース米は、炊いても粘りが弱くパラパラとした食感で、チャーハンやパエリアなどの料理に向いています。

主なうるち米の品種と産地

令和4年産で作付が多かったうるち米の品種を紹介します。

順位

品種名(品種別作付比率)

1位

コシヒカリ(33.4)

2位

ひとめぼれ(8.5)

3位

ヒノヒカリ(8.1)

4位

あきたこまち(6.7)

5位

ななつぼし(3.2)

参考:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「 水稲うるち米主要品種の作付比率の推移」


コシヒカリ

「コシヒカリ」は、品質が良くおいしい「農林1号」と、いもち病に強い「農林22号」を交配して生まれた品種です。1956(昭和31)年に農林登録された古い品種ですが、現在も作付面積1位を誇る日本を代表する品種で「お米の王様」と呼ばれています。主な産地は新潟県、茨城県、栃木県で北海道や沖縄を除く全国で広く作付けされています。炊いた時に白くて艶があるごはんになること、食べたときの粘りや甘み、香りがあることが特徴です。各産地のコシヒカリで食感や味も異なるので、ぜひお試しください。

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ひとめぼれ

「ひとめぼれ」は、宮城県古川農業試験場で「コシヒカリ」と「初星」を交配して育成された品種です。1991(平成3)年に水稲農林313号として登録されました。主な産地は宮城県、岩手県、福島県です。つやがあり、適度な粘りがあり、味と香りのバランスが良いのが特徴です。

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ヒノヒカリ

「ヒノヒカリ」は、宮崎県総合農業試験場が「コシヒカリ」と「黄金晴」を交配して育成した品種です。1989(平成元)年に水稲農林299号「ヒノヒカリ」として命名登録されました。主な産地は熊本県、大分県、鹿児島県で、九州を中心に西日本で多く作付けされています。あっさりとした食味で、粘りや香りのバランスが良く、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。

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あきたこまち

「あきたこまち」は「コシヒカリ」と「奥羽292号」を交配した品種です。1975(昭和50)年に福井農業試験場が育種されていた品種の中にあったものを、秋田県農業試験場が譲り受け、育成選抜を行い誕生しました。秋田県、茨城県、岩手県などで多く作付けされています。炊き上がりに透明感があり、あっさりした味わいで繊細な和食との相性が良いのが特徴です。

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ななつぼし

「ななつぼし」は、北海道立中央農業試験場で育成された北海道を代表するブランド米です。甘みと粘りのバランスがよく、あっさりとした食感が特徴で、冷めてもおいしいことからお弁当やお寿司によく合います。

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ごはん以外のうるち米の用途

ごはんとして食べられることが多いうるち米ですが、ごはん以外にも利用されることがあります。

うるち米を使った料理

うるち米を使った代表的な料理には、秋田の名物「きりたんぽ」や愛知県など中部地方の郷土料理「五平餅」があります。また、団子や草餅、ういろうなどの和菓子に使われる上新粉も、うるち米を粉にしたものです。

米粉の種類と米粉商品

上新粉はうるち米が原料ですが、白玉粉や道明寺粉はもち米から作られています。白玉粉は、白玉だんごや大福餅、道明寺粉は桜餅やおはぎに使われます。

また近年では、製紛技術の進歩により、小麦粉に代わる食材として、麺やパン、ケーキなどにも使われています。

まとめ

これまでご紹介した通り、うるち米にはさまざまな品種があります。それぞれ特徴や味わいが違うので、食べ比べをして、好みの品種を見つけてみてはいかがでしょうか。

(おいしいごはん研究チーム)

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