創業は昭和29年で、東京でいちばん古い元祖にぎりめしの店。そんな宿六の店内は、細長いL字型カウンターと4人掛けのテーブル席が2つ。ショーケースの中には、寿司屋のように厳選された具が並びます。
「屋号の宿六は、じいさんが働かない宿六だったので、ばあさんが仕方なく働き始めたのが由来です。2代目も母ですし、うちは代々女性が働く店。3代目で男の僕は、ちょっと肩身が狭いかな」と3代目の三浦洋介さんが、笑いながら説明してくれました。現在は昼を洋介さんが担当し、夜を2代目女将のお母さんが担当しています。
地元では芸人をはじめ、著名人が多く通う店とも知られ、夜ともなれば、絶品おにぎりを片手に話が盛り上がることもしばしば。しかし女将の方針で、店で飲めるお酒は、夜でも1杯だけ。あくまでもおにぎり屋のスタンスで商売しているのに、滞在時間が2時間を超える人もいるというから不思議な店です。
おにぎりの大きさは、一個が70?75gと小ぶり。店内で食べる人とお持ち帰りの人の割合は、ほぼ半々で、多い日で300個くらいは作っています。人気の具は定番のシャケですが、日によって山ごぼう、椎茸昆布だったりと、予想はつかないとのこと。
「といっても、季節ごとの女将オリジナルは別として、具はほとんど、創業当時と変わりません。ごはんに合う具にこだわって選んでいますから」と3代目。
また、昼は宿六のおにぎりを求め、観光客も多く訪れ、浅草グルメを代表する人気店となっています。
宿六のこだわり
- ●お米は、新米の段階で、その年のおにぎりに合う産地を選んでいます。今年は糸魚川産、去年は石川県産のコシヒカリといった具合。
- ●海苔は江戸前を使用。塩は味見をして、毎年のお米に合ったものをチョイスしています。
- ●ごはんは2升炊きの羽釜で、1升4合と少な目に、そしてお米の味が出るように、やわらかい目に炊き上げています。
- ●握りは特注の木枠の型でおおよそ形を整え、「硬めで」という注文がなければ、やわらかめに握ります。