お米10キロの値段の相場は?お米屋さんとネット通販のどちらで買うのがおすすめか

総務省が発表した令和6年5月の消費者物価指数(家庭で消費するモノやサービスの値動き)は、前年同月から2.8%上昇していました。さまざまな物が値上がりする状況の中、毎日の食事に欠かせないお米を、少しでも安く買いたいと思っている方も少なくないのではないでしょうか。そこで、今回はお米10キロの値段について深堀りいたします。

一般的に販売されているお米の種類

一言でお米と言っても、品種や産地、栽培方法の違い、玄米か白米か、単一原料米か複数原料米かなど、お米にはさまざま種類があります。

1.品種(銘柄)と産地

現在、国に登録されているお米の品種数は、約1,000品種(2023年4月時点)あります。このうち、主にごはん用として栽培されているうるち米は約320品種です。

 

全国で作付けされているうるち米の作付割合が多い品種と主な産地を紹介します。

 

■令和4年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の品種別作付割合上位10品種

順位

品種名

作付割合

主な産地

1位

コシヒカリ

33.4%

新潟県・茨城県・栃木県

2位

ひとめぼれ

8.5%

宮城県・岩手県・福島県

3位

ヒノヒカリ

8.1%

熊本県・大分県・鹿児島

4位

あきたこまち

6.7%

秋田県・茨城県・岩手県

5位

ななつぼし

3.2%

北海道

6位

はえぬき

2.9%

山形県

7位

まっしぐら

2.4%

青森県

8位

キヌヒカリ

1.9%

滋賀県・兵庫県・京都府

9位

ゆめぴりか

1.8%

北海道

10位

きぬむすめ

1.8%

島根県・岡山県・鳥取県

 

参考: 米穀安定供給確保支援機構「令和4年産 水稲の品種別作付動向について」

https://www.komenet.jp/pdf/R04sakutuke.pdf

 

2.栽培方法の違い(有機栽培米と特別栽培米)
  • ●有機栽培米

「有機栽培米(有機JAS認定米)」は、簡単に言うと化学肥料や化学合成農薬を使わずに栽培されたお米のことです。圃場(※1)等の条件、圃場等における肥培管理、圃場に播種(※2)または植え付ける種苗(※3)、圃場等における有害動植物の駆除・輸送、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装その他の工程に係る管理について細かい基準が設けられていて、基準を満たしたお米だけが「有機栽培米(有機JAS認定米)」と表示することができます。

※1 田んぼなどの農作物を栽培する土地のこと。

※2 農作物等の種子をまくこと。

※3 農作物等の種や苗。

 

  • ●特別栽培米

「特別栽培米」は、栽培されている地域の慣行レベル(その地域で慣行的に行われている節減対象農薬と化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培されたお米です。節減対象農薬を使用しなかった場合には、「節減対象農薬:栽培期間中不使用」と表示されます。

 

3.玄米、精白米、分づき米、無洗米
  • ●玄米と白米(精白米)

田んぼから刈り取られた稲の実は、黄色い殻に包まれています。この殻がついたお米を「籾(もみ)」といい、籾から殻を取り除いたものが「玄米」です。

 

玄米はぬか層に包まれていて、このぬか層や胚芽を取り除くことを「精米」といいます。この精米されたお米が、普段私たちがごはんとして食べている白米(精白米)です。

 

お米のぬか層には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群、食物繊維、タンパク質などが豊富に含まれています。そのため、玄米は白米と比べて健康に良いとされています

 

  • ●分づき米

ぬか層に包まれている玄米は、食べにくい・消化が良くない・炊くのが難しいといったデメリットがあります。

 

そこで最近注目されているのが「分づき米」です。分づき米とは、玄米から完全にぬか層や胚芽を取り除かずに、その一部を残したお米で、いわゆる玄米と白米の間のお米です。白米を10割の精米率として、何割精米しているかで「3分づき米」「5分づき米」「7分づき米」といいます。

 

  • ●無洗米

精米した白米の表面には、精米機では完全に取り除くことができない「肌ぬか」が残っています。肌ぬかが付いたまま炊くと、ごはんがぬか臭くなるため、炊飯する際にはこの肌ぬかを取り除くために、お米を研ぎ洗いします。

 

無洗米とは、肌ぬかをあらかじめ工場で取り除いたお米で、炊く前に研ぎ洗いする必要がありません。

4.単一原料米と複数原料米(ブレンド米)
  • ●単一原料米

「単一原料米」とは、品種・産地・産年が同一のお米のことをいいます。この条件を満たした原料玄米のお米は、「食品表示法」に基づく「食品表示基準」により、お米の袋に「単一原料米」と表示することができます。

 

  • ●複数原料米

「複数原料米」は、品種・産地・産年が違うお米を配合したものです。ブレンド米や混合米などと表示されることもあります。

5.内容量やパッケージ

通常、スーパーなどの店頭に並んでいるお米は、10キロ、5キロ、2キロ、1キロの単位で袋に入っています。また最近では、食べきりサイズの1合パックもあり、キャンプや登山などのアウトドアで人気となっています。農家さんから直接購入する場合やお米屋さんで買う場合には、30キロの紙袋に入っていることもあります。

 

お米の袋を大きく分けると、フィルム製とクラフト(紙)製があります。また、最近では長期保存が可能な真空パックのお米も販売されています。


お米の価格を左右する要因

お米の価格が下がりすぎると生産者が困ってしまいます。逆に高くなりすぎると消費者が買えなくなってしまいます。そこで、昔は政府がある程度お米の価格を調整していました。しかし、現在はお米の流通は原則自由化されていて、さまざま価格で販売されています。


1.品種・産地・産年・等級
  • ●品種や産地による価格の違い

農林水産省は、お米の価格動向を把握するため、相対取引価格を毎月調査して公表しています。お米の相対取引価格は、全国農業協同組合連合会(JA全農)や農協などの生産者団体と、米穀卸売業者との間で取引する際の契約価格です。

 

令和5年産米の相対取引価格(速報)は以下の通りで、品種や産地によって取引されている価格は異なります。

 

産地

品種銘柄

6年5月(単位:円/玄米60㎏税込)

北海道

ななつぼし

15,674

秋田

あきたこまち

15,676

岩手

ひとめぼれ

14,901

宮城県

ひとめぼれ

15,601

新潟

コシヒカリ(魚沼)

20,634

新潟

コシヒカリ(一般)

17,578

茨城

あきたこまち

19,880

茨城

コシヒカリ

17,642

栃木

コシヒカリ

14,824

熊本

ヒノヒカリ

14,751

鹿児島

ヒノヒカリ

15,094

 

参考:農林水産省「令和5年産米の相対取引価格(速報)」

https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html

 

  • ●産年による価格の違い

収穫したその年のお米を「新米」というのに対して、前年に収穫されたお米は「古米」といいます。食品表示法に基づく食品表示基準によって、新米と表示できるのは収穫されたその年に包装された玄米と精白、包装された精米とされています。

 

店頭に並んでいるお米の産年を確認するには、米袋の表示を確認しましょう。複数原料米(ブレンド米)の一部は表示義務がないため記載されていないこともありますが、単一原料米の場合には、収穫された年を知ることができます。

 

新米に比べて古米は水分量が少なく、保存状態が悪ければ古米臭といわれる独特の香りがすることがあります。そのため、産年が古くなるほど価格が安くなるのが一般的です。


2.需要と供給

2024年7月13日付の日本経済新聞に「令和の米騒動か コメ値上がり招く3つの理由」という記事が掲載されました。この記事で大手コメ流通業者の幹部は「30年みてきてこんな上昇は記憶にない」と取材に答えています。

 

今回、お米が値上がりしている理由は、「生産調整」「2023年夏の猛暑」「インバウンド需要増大」「外食の急増」ということです。このように需要と供給のバランスによって、お米の価格は変動します。


3.お米の食味ランキング

前述した通り、お米は品種や産地によって価格が異なります。また、価格は需要と供給による影響も受けるため、人気の品種や産地のお米は高く取引される傾向にあります。

 

その人気に影響を与えるのが、日本穀物検定協会が毎年発表している「お米の食味ランキング」です。食味ランキングは、専門の食味評価エキスパートパネル20名が、基準米と試験対象米を外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価で比較する方法で行われます。

 

試験対象米と比較して、おおむね同等のものが「A’」、基準米よりも特に良好なものが「特A」、良好なものが「A」、やや劣るものが「B」、劣るものが「B’」です。

 

令和5年度産では、新潟県魚沼産のコシヒカリや大分県豊肥産のヒノヒカリ、秋田県県南産のあきたこまち、北海道産のななつぼしなどが「特A」の評価を受けています。

 

参考:日本穀物検定協会「米の食味ランキング表」

https://www.kokken.or.jp/data/rank_sanchi.pdf

お米を購入する時に注意するポイント

これまで解説してきた通り、お米には品種や産地、栽培方法、単一原料米、複数原料米などさまざまな種類があり、それらによって値段が変わります。また、需要と供給のバランスによっても価格は変動します。最後にお米を買う時の注意点について紹介します。



1.お米を購入する場所

一般的にお米を購入できる場所としては、お米屋さん・スーパー・コンビニ・ネット通販などがあります。それぞれメリットとデメリットがあるので、自分に合った場所でお米を購入しましょう。

 

  • お米屋さんで購入するメリットとデメリット

メリット

・専門店なので品質について信頼できる

・精米したてのお米を購入できる

デメリット

・扱っている商品(品種や産地など)は限定的

・配送を依頼しないと、重たいお米を自分で持ち帰らなければならない

 

  • スーパーやコンビニで購入するメリットとデメリット

メリット

・他の買い物と一緒に済ますことができる

・比較的、自宅の近くで購入できる

デメリット

・扱っている商品(品種や産地など)は限定的

・配送を依頼しないと、重たいお米を自分で持ち帰らなければならない

 

  • ネット通販で購入するメリットとデメリット

メリット

・購入するために出かけたり、重たいお米を持ち帰ったりすることなく自宅で受け取れる

・いろいろな商品(品種や産地、栽培方法)や値段を比較しながら選べる

デメリット

・基本的に配送料がかかる

・購入してから届くまで時間がかかる

・現物を確認できない

 

ここでお米の総合通販サイト「ごはん彩々」で販売されている10キロのお米をいくつか紹介します。相場感の参考にしてください。

 

【令和5年産】兵庫県産 丹波コシヒカリ10kg

 

 

(令和5年産)富山県産てんこもり10kg

三重県産 三重の米10kg(三重県産 複数原料米)

 

【令和5年産】さぬき米 おいでまい 10kg

ごはん彩々のお米(10kg以上)の商品一覧はこちら


2.精米時期を確認する

お米は野菜と同じ生鮮食品です。消費期限はありませんが、日数が経つにつれ品質が落ちてしまうことから賞味期限はあるとも言えます。

そのため、お米をよりおいしく食べるには、精米時期が重要となります。一般的に精米後1ヶ月がおいしく食べることのできる目安とされています。米袋には精米時期が表記されているので確認して、できるだけ早く食べきるようにしましょう。

3.まとめ買いに注意する

量が多い方がお得だからと言って、お米をまとめ買いするのは避けましょう。前述した通り、お米は時間が経つと食味が落ちていきます。1ヶ月で食べきれる量を購入するようにしましょう。


まとめ

お米には品種や産地、栽培方法、単一原料米、複数原料米などさまざまな種類があり、同じ10キロであっても値段が異なります。ネット通販でお米を購入する際には、配送料が必要となりますが、いろいろな品種や産地を比較しながらお米を選べて、自宅で受け取れるといったメリットがあります。いろいろなお米の食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

(おいしいごはん研究チーム)

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