【特集第17弾:沖縄のお米】特徴やおすすめのお米をご紹介!
米どころと言うと、北海道や東北地方を思い浮かべる人が多いことでしょう。実際、生産量はこれらの地域が多くを占めています。サトウキビで有名な沖縄県ですが、実はお米も作られているのです。生産量は多くありませんが、沖縄のお米は二期作で作られており、1期目が6月に収穫され、日本一早く新米が味わえます。
本記事では、沖縄県のお米づくりの特徴や、主なお米の品種についてご紹介します。
日本では、沖縄県のみが亜熱帯といわれる気候帯の中に位置しています。そのため、北海道や本州、四国、九州とは大きく気候が異なります。また、気候が違うことから、栽培されている農作物も特徴的です。
47都道府県で最も南に位置する沖縄県は、東西約1,000㎞、南北約400㎞の広い海域に点在する大小160もの島で構成されています。ほぼ全域が亜熱帯気候のため、1年を通して暖かく、真冬でも10度以下になることはほとんどありません。年間平均気温は23.1度で、1日の最高気温が30度を超える真夏日が、100日以上にもなる年もあります。
降水量は他の県と比べて多く、特に5月から9月にかけては、梅雨や台風の影響で雨が多く降ります。しかし、沖縄県には森林が少なく、河川は小さく短いため、雨がたくさん降ってもすぐに海へ流れ出してしまいます。そのため、沖縄県は水不足に悩まされてきました。
現在は、農業用水の確保や潅漑(かんがい)施設の整備、地下ダムの建設など、農業に必要な水の整備に取り組んでいます。
沖縄県では、基幹産業であるサトウキビを中心に、野菜や果実、花き、畜産などの農業が行われています。サトウキビは、沖縄県のほぼ全域で栽培されており、栽培面積・収穫量ともに全国第1位です。にがうり(ゴーヤ)は、冬春期に全国へ供給される沖縄県の主力野菜で、収穫量は全国第1位で約4割を占めています。他にも、パイナップルやマンゴー、シークワーサーといった果実が全国第1位の収穫量を誇っています。
沖縄県のお米の作付け面積は、令和5年度産で576ヘクタール、収穫量は1,850トンと東京都に次いで少なく、全国第46位です。しかし、沖縄県では温暖な気候を生かして「二期作」が行われており、6月に収穫されるお米は「日本一早い新米」として県内外問わず人気です。
ちなみに「二期作」とは、同じ土地で同じ作物を2回栽培することです。似ている言葉には「二毛作」がありますが、「二毛作」は同じ土地で異なる2つの作物を栽培することを意味します。
参考:米穀安定供給確保支援機構「お米の都道府県別収穫量(水稲)」
沖縄県には大小160もの島々がありますが、お米はどの地域で栽培されているのでしょうか。ここからは、沖縄県の主なお米の産地をご紹介します
沖縄県内の主なお米の産地は、石垣市、竹富町、伊平屋村、伊是名村、金武町、名護市、恩納村などです。令和4年度産のデータによると、石垣市が作付け面積・収穫量ともにもっとも多く、沖縄県全体の5割を超えています。
水稲の作付面積及び収穫量
市町村 |
作付け面積(ヘクタール) |
収穫量(トン) |
石垣市 |
321 |
964 |
竹富町 |
88 |
219 |
伊平屋村 |
63 |
196 |
伊是名村 |
58 |
223 |
金武町 |
47 |
144 |
名護市 |
35 |
99 |
恩納村 |
16 |
48 |
県計 |
639 |
1,920 |
沖縄県では、亜熱帯の特徴である暖かい春の気温を生かし、お米の二期作が行われています。それぞれの基本的なスケジュールは、次のとおりです。
- 一期作
1月~2月 |
2月~3月 |
3月 |
4月~5月 |
5月~6月 |
6月~7月 |
田起こし 代搔き |
苗づくり |
田植え |
水の管理 中干し |
水の管理 中干し |
収穫 |
- 二期作
7月~8月 |
8月 |
9月 |
9月~10月 |
11月 |
田起こし 代搔き 苗づくり |
田植え |
水の管理 中干し |
水の管理 中干し |
収穫 |
沖縄県で栽培されているお米の主な品種は、ひとめぼれ・ちゅらひかり・ミルキーサマーです。令和5年度産の作付け割合の順位は、1位が「ひとめぼれ」で79.1%、2位が「ちゅらひかり」の11.1%、3位が「ミルキーサマー」の3.6%となっています。いずれも沖縄県の推奨品種に採用されている品種です。この章では、それぞれ品種の特徴についてご紹介します。
参考:米穀安定供給確保支援機構「令和5年産 水稲の品種別作付動向について」
「ひとめぼれ」は、宮城県の古川農業試験場で「コシヒカリ」と「初星」を交配して育成された品種です。平成3(1991)年に「水稲農林313号」として登録され、「ひとめぼれ」と命名されました。宮城県や岩手県、福島県などの東北地方をはじめ、全国で広く栽培されており、品種別の作付け面積はコシヒカリについで2番目です。沖縄県では、平成11(1999)年に推奨品種に採用され、県内における作付け面積のおよそ8割が「ひとめぼれ」となっています。
「ひとめぼれ」は、親であるコシヒカリの食味の良さを受け継いでいます。甘みや粘り、炊き上がりのツヤ、香りのバランスが良く、どんな料理にもよく合います。また、冷めてもおいしいので、おにぎりやお弁当にも向いています。
関連記事:色やツヤが一目惚れするように美味しいお米「ひとめぼれ」
「ちゅらひかり」は、東北農業研究センターで食味の良い「ひとめぼれ」といもち病に強い「奥羽338号」を交配して育成された品種です。”ちゅら"は沖縄の方言で「美しい」という意味です。平成17(2005)年に沖縄県の推奨品種に採用され、金武町や恩納村、伊平屋村の一部で栽培されています。
食味は「ひとめぼれ」の特徴を受け継いでおり、甘みや粘り、炊き上がりのツヤ、香りのバランスが良いお米です。
「ミルキーサマー」は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が「コシヒカリ」早生同質遺伝子系統「和系243」と低アミロース米として評価の高い「ミルキークイーン」を交配して開発した品種です。平成24(2012)年に、沖縄県の推奨品種に採用されました。
また「ミルキークイーン」より収量が多く、「ひとめぼれ」より早く収穫できるという特徴があります。食味は「ミルキークイーン」と同じ低アミロース米のため、食味は粘りが強く、モチモチとした食感で、冷めても硬くなりにくいです。
日本においては、沖縄県のみが亜熱帯気候の帯の中に位置しています。そのため、冬から春にかけても暖かい亜熱帯気候の特徴を生かし、沖縄県ではお米の二期作が行われており、6月に収穫されるお米は、日本一早い新米として県内外で人気です。ほかにも「ちゅらひかり」など、他県ではあまり栽培されていないお米もあるので、ぜひ取り寄せて食べてみてください。
(おいしいごはん研究チーム)
正しい保存方法でお米の美味しさをキープ! 真空パックも過信しないで!