お米はもともとの生産方法、ブランドや新鮮さ、さらに買ってきた後の保存方法など、さまざまな条件によって美味しさが変わってきますが、いよいよ食べる直前に準備をするとき、お米を研ぐ段階でも研ぎ方によってやはり美味しさが変わってくることをご存知でしょうか。お米の美味しい研ぎ方を知り、美味しいご飯を食べましょう。
昔は精米技術が甘く、米ヌカが大量に残っていたので、炊く前にしっかり研いで落とすことが欠かせませんでした。しかし現在は精米技術が向上したので、それほどしっかり洗い落とす必要があるわけではありません。
今はうっすら残っている「肌ヌカ」やゴミを洗い流すだけで良いでしょう。つまり、現代の米研ぎの目的は、洗い流すことに加え、「お米に軽く傷をつけ、水分を浸透しやすくする」ということです。これを念頭に置いて、お米を研いでいきましょう。
では、実際にお米の美味しい研ぎ方を5ステップで見ていきましょう。ぜひ、お家でやってみてください。
お米を美味しく研ぐためには、正確な分量を量る必要があります。「1合=180mL≒150g」を基本とし、トントンと詰めすぎずさっくり量りましょう。少し上に盛り上がった分は、すりきり棒や菜箸などで平らに慣らします。
炊く量が多くなるとその分誤差も出やすくなるので、1合ずつ正確に量るのがポイント。最近は粒の大きいお米も多く、品種によって量が異なる場合もありますので、お米に合った水加減で炊くのが重要です。
正確に分量を量ったら、あらかじめ水を張ったボウルや炊飯器の内釜に入れ、最初のすすぎを行います。お米は乾物のため最初の水は吸収しやすいので、このときの水は、浄水器の水などを使うと良いでしょう。
お米が全部浸るくらいに水を入れ、手で軽くお米を2〜3回転させ(約10秒)たら、素早く水を全部捨てます。お米に残っているヌカの匂いも吸収してしまうので、素早く水を捨てるのがポイント。このとき、炊飯器の内釜を使うのは良くないという説もありますが、基本的に問題はありません。
※先にお米をボウルに入れて水を入れる人が多いのですが、ボウルに水が溜まるのを待つ間にヌカの匂いをどんどん吸収してしまうため、避けましょう。
※このときはあくまでも「軽いすすぎ」です。何度もかき混ぜたり、すすぎの状態で放置したりしないよう気をつけましょう。
水がほとんどない状態のお米を、シャカシャカとやさしく研ぐのがポイントです。ソフトボールを握ったような手の形で、一定のスピードで同じ方向に20回くらい、お米の摩擦を利用しながらシャカシャカとかき回しましょう。
研いだ後は、ボウルに水(ここは水道水でOK)を入れ、白く濁った研ぎ汁を捨てます。軽くかき混ぜ、底に残った研ぎ汁も捨てましょう。ゴシゴシ、ギュッギュッと力を入れて研ぐとお米が割れてしまうため、絶対にやってはいけません。また、お米に水を張った状態で研ぐのもお米どうしの摩擦が起きず、きちんと研げませんので避けましょう。
研ぎ汁の再利用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→お米のとぎ汁を再利用する方法って?掃除やお肌にも良いって本当?
素早く水を溜めて研ぎ汁を捨てる「水の取り替え」は2回ぐらい行い、合計3回程度研ぐと良いでしょう。目安は、うっすら米が透けて見える程度に水が澄むことです。途中からはでんぷん層が流れ出て水が濁りますので、水が透明になるまですすぎを繰り返すとお米の栄養分や旨み、甘みも全部流れ出てしまいます。
お米を研ぎ終わったら、そのまま分量の水を追加して水に浸し、炊飯器や鍋で炊き上げましょう。このときの水は、ミネラルウォーターなどを使うとより美味しく炊き上げられます。
最後に、お米を美味しく研ぐための注意点を2点ご紹介します。
新米や精米したてのものなど、鮮度の高いものを食べるときは、手で押さえつけてゴシゴシと洗うとお米が割れてしまい、美味しくなくなってしまいます。
しかし、精米から1年以上経過した「古米」と言われるお米は米の表面が古くなり、風味も悪くなっています。精米から1年以上が経った古米の場合のみ、しっかりギュッギュッと研ぐのが良いでしょう。
研いだお米をザルで勢いよく水切りしてしまうと、お米が乾燥してひび割れてしまい、本来割れるはずのないお米まで割れてしまいます。どうしても水の量などで気になる場合は研ぎ終わった後にザル上げをし、乾燥しないよう5分以内に素早く炊飯器や鍋に移して水を加えましょう。
今は精米技術が上がっているため、新鮮なお米を食べるぶんにはゴシゴシ洗う必要はありません。浄水器の水などですすいでお米に吸水させた後、お米の表面の肌ヌカやゴミを落とすためにやさしく研ぎましょう。
(ごはん彩々・おいしいごはん研究チーム)
美味しいお米の炊き方とは?加えるお水は何が良い?