稲刈りとは、お米が実っていよいよ収穫を行う稲作の集大成とも言えます。しかし、稲刈りはただ刈れば良いというものではありません。稲刈りを行うためには、事前準備や当日の刈り方、収穫後に行う作業まで細かい気遣いが必要です。今回は、稲刈りの手順について事前準備から当日、収穫後の作業まで詳しく見ていきましょう。

稲刈りとは
稲刈りとは、熟した稲(お米)を収穫するために切り取ることを指します。稲刈りには昔ながらの手作業を使ったものと、コンバインによる機械作業の2種類がありますが、今回は、全国でも一般的に多く行われているコンバインによる稲刈りの様子について紹介します。

米作りの詳しい手順は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
意外と知らない米作り方法!?6つの行程について詳しく解説

稲刈りの手順【事前準備編】
まずは、コンバインによる作業を行う前にどのような準備をしておくべきか、2つの事前準備について説明します。

準備①:落とし水(落水:らくすい)
落とし水とは、田んぼの水を抜くことです。お米は水田で育てるため、育てている間は下部が水に浸かっています。しかし、水に浸かった状態ではコンバインが作業できないため、だいたい稲刈りの5〜10日前に水を抜くのです。出穂40〜45日前後に稲刈りを行うため、逆算して出穂後30日ごろを目安とすることもあります。

稲刈りの時期については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
稲刈りの時期はいつ?見極めるポイントや決め方について知ろう

ただし、水を早く抜きすぎるとその後、稲の育ちが悪くなり胴割れ米や未成熟米が増えてしまうため、水を抜く時期には十分に注意をしています。遅すぎると、稲刈りの当日にも土がぬかるんでコンバインでの作業ができなくなってしまいます。コンバインがぬかるみに足をとられ、動かなくなってしまうからです。そのため、落とし水でしっかり田んぼを乾かしてから、刈り取り作業を行います。

準備②:コンバイン、乾燥機など機械の準備
年に1回しか使わないため、ちゃんと動くかどうか確認しておきます。当日トラブルに見舞われたからといって、すぐに復旧できるとは限りません。収穫時期は重なるので、修理業者がすぐに来られないこともあります。そのため、使う機械は事前に全てチェックしておくことが大切になります。

準備③:収穫量を決める
刈った後の稲はその日のうちに乾燥させる必要があるため、当日どれだけ収穫するか事前に決めておきます。乾燥機で乾かせる量だけにしておかないと、放置された籾(もみ)の品質が著しく悪化してしまうのです。乾燥機を持っていない場合は、ライスセンターなど(籾を乾燥させる共同施設)に持ち込むことになります。

稲刈りの手順【当日編】
稲刈り当日には、刈り取りのほか、刈り取った籾を乾燥させる工程が必要です。

当日の作業①:刈り取り
実際に刈り取っていきます。刈り取りの開始時間は、朝露が乾く11時前後がいいとされています。朝露があると稲が重くなって刈りにくく、コンバインに負担がかかるためです。時間もかかるうえ脱穀がうまくいかず、せっかく収穫してもロスが増えてしまいます。しかも乾燥に時間がかかり、燃料コストが増大します。そのため、刈り取りは乾燥してから行います。

コンバインの操作に慣れないうちは、ゆっくり進まないと危険です。刈り取るための機械なので、コンバイン内部には多数の刃が高速で回転しています。うっかり何かをひっかけてしまったら大変です。コンバインの危険性を十分に理解したうえで、ゆっくり進めていきます。緊急停止の方法も確認しておくことが重要です。

刈り取りは、外から中の手順で行います。コンバインがターンできる幅になるまで外周を順にぐるぐる渦巻き状に刈っていき、最後は田植えの列に沿った「条刈り」をするという順番です。

当日の作業②:乾燥
乾燥機を持っている場合、その日のうちに乾燥機へ入れて乾燥させます。乾燥には一晩かかるため、ここは待つだけです。前述のように、乾燥機がない場合はライスセンターなどへ持ち込みます。また、昔ながらの製法を重視しているところなどでは、天日干し(自然乾燥)を行う場合もあります。

お米の乾燥方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
【米作りの乾燥工程について】乾燥させる理由とその方法を解説

稲刈りの手順【収穫後編】
乾燥機を持っている場合、籾摺り(もみすり)・選別・袋詰めを行います。

・籾摺り…籾から籾殻を取り除いて玄米にする
・選別…質の良い玄米と質の悪い玄米を選り分ける
・袋詰め…質の良い(選り分けられた)玄米の重さを量りながら袋に詰める

乾燥機がない場合は、ライスセンターなどで籾摺りや袋詰めなどもやってくれるため、そのまま出荷もできます。

まとめ
稲刈りは実ったお米である籾を刈り取る作業で、昔ながらの手作業で行う方法と、コンバインを使って機械で行う方法があります。今回は、一般的に行われているコンバインを使った方法をご紹介しました。コンバインは機械作業とはいえ、身体をかがめないというだけで、決して楽な作業ではありません。ぜひ、お米を食べるときには、こうした農家の方の作業にも思いを馳せてみてくださいね。

(おいしいごはん研究チーム)
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