【特集第15弾:栃木のお米】特徴やおすすめのお米をご紹介!
広い県土を持つ栃木県では、首都圏に近い立地を生かして、お米の作付けと出荷が行われています。お米の食味ランキングで特Aを獲得した「コシヒカリ」をはじめ「とちぎの星」や「あさひの夢」は、栃木県のブランド米として全国的に知られています。本記事では、そんな栃木県で多く栽培されている品種や、栃木県が育成したオリジナルの品種についてご紹介します。
肥沃な大地とミネラル豊富な水、長い日照時間など、おいしいお米が育つ条件がそろっている栃木県は、全国有数の米どころです。
栃木県の面積は約6,408平方キロメートルで、47都道府県の中では20位、関東の1都6県では最も広い面積を誇ります(平成24年10月1日現在)。また、那珂川や鬼怒川、渡良瀬川といった豊富な水資源、長い日照時間などの農業に適した条件がそろっています。
栃木県の県土は、東西約84km、南北約98kmにもおよび、山地も平地もあることから、地域ごとに異なる自然環境が特徴です。北部から西部にかけては、那須連山や日光連山といった標高2,000m以上の山々が連なる山岳地帯です。一方、東部は標高600〜1,000mのなだらかな丘陵地である八溝(やみぞ)山地で、中央部には那珂川や鬼怒川、渡良瀬川が作った平野が広がっています。この異なった3つの地形のおかげで、栃木県では多彩な作物が栽培できるのです。
参考:国土地理院「都道府県別面積の順位」
農林水産省が公表した「生産農業所得統計」によると、栃木県の令和4(2022)年の農業産出額は4,409億円で全国8位です。農産物別の産出額を見ると、米が458億円で全国10位、麦類が46億円で全国2位、野菜が749億円で全国8位、果実が82億円で全国27位となっています。
栃木県で栽培されている主な農産物には、米、二条大麦、そば、トマト、にら、かんぴょう、いちご、日本なしがあります。
栃木県は、全国有数の米どころとして知られており、令和5年産の米の収穫量は28万4,200トンで全国8位です。現在、そのうち栃木県内でもっとも作付けが多い品種は「コシヒカリ」で、令和5年産が6割以上を占めています。
この「コシヒカリ」は、令和5年産うるち米の品種別作付け割合が33.1%で、全国においてもっとも作付けが多かった品種です。昭和31(1956)年に「コシヒカリ」が誕生し、その翌年には栃木県の奨励品種に採用されて、栃木県での栽培が開始されました。
昭和46年産米から日本穀物検定協会が実施している「お米の食味ランキング試験」において、昭和62年(1987)年に栃木県産「コシヒカリ」は初めて最高の特Aの評価を獲得しました。以来、高い評価を獲得し続けています。令和5年産米では、県北の「コシヒカリ」が特Aを獲得しました。
参考:米穀安定供給確保支援機構「お米の都道府県別生産量上位10位はどこですか?」
栃木県で作付けされているお米の品種は、1位がコシヒカリ(61.1%)、2位とちぎの星(18.0%)、3位あさひの夢(10.9%)となっています(令和5年産)。この章では、それぞれの品種の特徴について紹介します。
前章でも紹介した通り「コシヒカリ」は、昭和31(1956)年に誕生したお米の品種です。昭和54(1979)年から全国の品種別作付け面積のトップを守り続けており、「お米の王様」と呼ばれています。栃木県においても、昭和41(1966)年に一番多く作られる品種となってから、現在でも栃木県内で広く作付けされています。「コシヒカリ」は、粘り気と甘みが強く、香りとつやが素晴らしいという特徴があります。
関連記事:ごはん彩々「コシヒカリの歴史とは?全国作付トップお米の王様の誕生と普及」
栃木県内で作付け面積2位の「とちぎの星」は、栃木県農業試験場において「栃木11号」を母に、「栃木7号(後のなすひかり)」を父として交配育成された品種です。
平成23(2011)年に品種登録を申請し、平成26年度産から登場した栃木県産米の新しい顔と言える品種です。「とちぎの星」の名前には「さまざまな災害にも打ち勝ち、 燦然と輝く、栃木の星となって欲しい」という期待が込められています。令和の大嘗祭で献上米に選ばれました。
「とちぎの星」は、大粒で豊かな甘みがあり、炊飯後も粒が崩れず、冷めてもおいしいという特徴があります。日本穀物検定協会が実施している「令和5年度産 お米の食味ランキング試験」では、県南の「とちぎの星」がAの評価を獲得しています。
「あさひの夢」は、昭和60(1985)年に愛知県総合農業試験場において 「愛知70号(あいちのかおり)」を母 に、「愛知56号(月の光)」と「愛知65号」のF1を父として交配され育成された品種です。「あさひの夢」という名前は、明治時代に開発された「旭」の性質を受け継いでおり、「長年に渡り品種改良に携わってきた多くの人々の夢が実現した品種である」という思いが由来となっています。
平成12(2000)年、栃木県の奨励品種に採用されたことで、作付けが奨励されました。主に、安定した良質なお米を大量に求める外食産業、中食産業の企業から人気があります。
参考:米穀安定供給確保支援機構「令和5年産 水稲の品種別作付動向について」
ここからは、栃木県農業試験場で育成された「とちぎの星」以外の、栃木県オリジナルの品種をご紹介します。
「なすひかり」は「コシヒカリ」を母、「愛知87号」を父として開発された栃木県オリジナルの品種で、主に県北地域で栽培されています。平成17(2005)年に品種登録され、栃木県の推奨品種に採用されました。名前の由来は、那須高原の爽やかなイメージから「なす」、「コシヒカリ」の特徴を強く受け継いでいることから「ひかり」を組み合わせて「なすひかり」と付けられました。
「なすひかり」は、「コシヒカリ」よりも粒が大きく、しっかりとした味わいと粘りが特徴のお米です。日本穀物検定協会が実施している「令和5年度産 お米の食味ランキング試験」では、県北の「なすひかり」がAの評価を獲得しています。
「ゆうだい21」は、日本初の国立大学が生んだお米で、宇都宮大学が開発した品種です。農学部の農場において、平成2(1990)年に偶然発見した稲穂の株を20年かけて育成し、平成22(2010)年に品種登録されました。平成26(2014)年には「米・食味分析鑑定コンクール」の総合部門で金賞を受賞しています。
名前の由来は、稲穂の立ち姿が雄大で美しかったこと、宇都宮大学が「うだい」という愛称で親しまれていたこと、そして21世紀の未来をつくる新しいお米となることを願って「ゆうだい21」と名付けられました。
「ゆうだい21」は、うま味が強く、バランスが良いお米です。「コシヒカリ」や「ミルキークイーン」の何倍も粘りがあり、冷めても硬くなりにくいのが特徴です。また、一粒が大粒なので、口いっぱいにご飯を頬張る満足感があります。
関東で最も広い栃木県は、全国で見ても日本有数の米どころです。肥沃な大地やミネラル豊富な水、長い日照時間など、気候風土に恵まれていることから、おいしいお米が育ちます。首都圏に近い立地を生かして育ったお米は、一般家庭の食卓はもちろんのこと、コンビニやお弁当屋さんといった外食産業でも使用され、多くの人から愛されています。
(おいしいごはん研究チーム)
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