【特集第18弾:京都のお米】特徴やおすすめのお米をご紹介
京野菜や宇治抹茶が有名な京都府の農業ですが、農地の約8割を水田が占めているほど、米づくりも盛んに行われています。ほとんどを山に囲まれている京都府は、山間地の田んぼでお米を育てていることが多く、水がきれいで、おいしいお米を育てる気候にも恵まれています。
本記事では、京都府で多く栽培されている品種、京都府オリジナルの品種について、詳しくご紹介します。
京都府は、794年に桓武天皇が平安京を定めてから、明治のはじめまで一千年余りの間、日本の政治や経済、文化の中心として発展してきました。京都府における米づくりの歴史は古く、弥生時代には本格的に稲作が始められたと考えられています
京都府は、本州の中央部に位置しており、約140㎞と南北に向かって細長い地形をしています。北は日本海に面し、中央部には山地、南には平野が広がっています。面積は約4,613㎢で全国31位です。中央に横たわる山地の影響により、南部は穏やかな気候ですが、一方で日本海に面している北部は、冬には底冷えする厳しい寒さとなります。
京都府の農業は、京みず菜や九条ねぎ、万願寺とうがらし、賀茂なす、聖護院大根などの京野菜が有名ですが、農地の約8割を水田が占めており、稲作が中心となっています。田んぼの面積は約23,000ヘクタールで全国34位、お米の農業産出額は151億円で全国33位です。
京丹後市にある「月の輪田(つきのわでん)」は、稲作発祥の地と伝えられています。丹後旧事記によると、食物の神である豊受大神が天照大神のために、ここで種をまいて稲作を試みたとされています。また、代々の領主は「月の輪田」を保護し、毎年身を清めて稲を作り、白米一斗三升を初穂として伊勢神宮に奉納していたそうです。
京都府で作付けされているお米の品種(令和5年産)の順位は、1位コシヒカリ(56.4%)、2位キヌヒカリ(19.6%)、3位ヒノヒカリ(18.4%)です。なお、3品種を合計すると、作付面積の割合は94.4%になります。
参考:令和5年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の道府県別作付上位品種
京都府における「コシヒカリ」の作付面積の割合は56.4%で、品種別の作付け割合では1位です。また、全国でも33.1%*と、もっとも作付けが多かった品種です。コシヒカリは、昭和31(1956)年に誕生した古い品種ですが、昭和54(1979)年から作付面積トップを守り続けており「お米の王様」と呼ばれています。
コシヒカリの特徴として、粘り気と甘みが強く、香りとつやが素晴らしいという点が挙げられます。特に、日本海に面した丹後で作られたコシヒカリは、日本穀物検定協会が毎年実施している「お米の食味ランキング試験」において、過去に何度も最高評価の「特A」を獲得しています。
*令和5年産うるち米の品種別作付割合
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「キヌヒカリ」は、平成元(1989)年に品種登録された品種です。京都府では主に丹波で栽培されており、品種別の作付面積の割合は19.6%と、コシヒカリに次いで2番目です。また、全国の品種別作付けは10位(1.8%)で、京都府のほかに滋賀県と兵庫県で多く栽培されています。
キヌヒカリという名前は、炊き上がりのご飯の色が白く、絹のように艶やかで光輝いていることから命名されました。コシヒカリと比べると、粘りは強すぎず、さっぱりとした口当たりが特徴です。
参考:米穀安定供給確保支援機構「令和5年産 水稲の品種別作付動向について」
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「ヒノヒカリ」は、宮崎県総合農業試験場がコシヒカリと黄金晴を交配して育成した品種です。全国の品種別作付割合(令和5年度産)では、1位がコシヒカリ(33.1%)、2位がひとめぼれ(8.3%)、3位がヒノヒカリ(7.4%)となっています。また「東の横綱 コシヒカリ」に対して「西の横綱 ヒノヒカリ」と呼ばれており、主に西日本で栽培されています。京都府においては、南部を中心に栽培されていて、品種別作付の割合は第3位の18.4%です。
コシヒカリと比べるとお米の粒は小さいですが、うま味がたっぷり詰まっており、しっかりとした噛み応えが特徴です。
関連記事:ごはん彩々「ヒノヒカリ誕生秘話 耐性や栽培特性より、「コシヒカリ」と同等という食味へのこだわりが、西の横綱「ヒノヒカリ」を育てた!」
京都府では、前章で紹介したコシヒカリ・キヌキカリ・ヒノヒカリのほかにも、さまざまな品種が栽培されています。
米などの農産物は、公正で円滑な流通を促進するため、一般的に農産物検査法に基づく検査により、銘柄証明および品位格付が行われています。産地品種銘柄の証明を受けるためには、産地品種銘柄が設定されている必要があるのです。
産地品種銘柄には、必須銘柄と選択銘柄があります。必須銘柄とは、すべての登録検査機関が検査を行う銘柄のことです。必須銘柄の場合、当該都道府県で農産物検査を行っている登録検査機関であれば、どこへ検査を依頼しても検査を行います。一方、選択銘柄とは、銘柄の検査を行うかどうか、登録検査機関が選択する銘柄のことです。
ここで、京都府の産地品種銘柄を「必須銘柄」「選択銘柄」に分けてご紹介します。
【令和6年産の京都府の必須銘柄】
キヌヒカリ・コシヒカリ・どんとこい・日本晴・ヒノヒカリ・フクヒカリ・祭り晴
【選択銘柄】
いのちの壱・縁結び・きぬむすめ・京式部・京の輝き・にこまる・ヒカリ新世紀・ほむすめ舞・ミルキークイーン・夢ごこち
参考:農林水産省「令和6年産農産物の産地品種銘柄設定等の状況」
選択銘柄に選ばれている「京式部」は、京都府オリジナルの新品種です。平成29年度より、京都府が農研機構と共同で新品種の育成開発に着手しました。そして、令和2(2020)年に品種登録へ出願し、京料理店で限定提供を行い、翌年に一般販売が開始されたのです。
京式部の名前には「源氏物語」の作者である紫式部を連想し、華やかで平安の雅を感じることができる上質なイメージが込められています。炊きあがりの香りと白く美しいツヤが魅力です。また、口に含むと上品な甘みとほどよい粘りを味わうことができ、バランスの良さが特徴として挙げられます。白いごはんはもちろん、おにぎりや炊き込みごはんにもおすすめです。
京野菜や宇治抹茶が有名な京都府ですが、農地の約8割を水田が占めているほど、実は米づくりも盛んに行われています。主に栽培されている品種は、コシヒカリやキヌキカリ、ヒノヒカリですが、最近では京都府オリジナル米新品種「京式部」も誕生しました。
また、京都府は山に囲まれているため、山間地の田んぼでお米を育てていることが多く、水がきれいなことから、おいしいお米を育てる気候に恵まれています。ぜひ、京都府産のお米を味わってみてください。
(おいしいごはん研究チーム)
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