【特集第19弾:福岡のお米】特徴やおすすめのお米をご紹介! 

福岡市と北九州市という2つの大都市を抱え、あまり農業のイメージがない福岡県ですが、実は田んぼの面積が、全国14位と九州最大の米どころです。また、県独自の品種の開発なども積極的に行っています。

福岡のお米は、粘り・甘み・つやの三拍子が揃い、炊き立てはもちろん冷めてもおいしいと県外でも評判です。なかでも、 福岡オリジナル品種の「元気つくし」は、米の食味ランキングで最高評価の特Aを獲得しました。

本記事では、福岡県で作られているお米の品種や特徴について、詳しくご紹介します。

福岡県の農業とお米作り

福岡県は古くから「九州の玄関口」として栄えてきました。人口は509万9,527人(令和6年11月1日現在)と九州で最多です。大都市のイメージが強い福岡県ですが、実は農業が盛んで、さまざまな作物が栽培されています。

福岡県の地理や気候の特徴

福岡県は九州の北に位置し、北部には筑前海と豊前海、西南部には有明海が広がっています。海には、筑後川や遠賀川、矢部川などの河川が注ぎ込んでいて、川の流域には、筑紫平野や福岡平野、直方平野などの肥沃な平野があります。

 

福岡県の面積は、約4,847㎢で全国29位です。比較的なだらかな地形で、農地が広く森林が少ないという特徴があります。また、温暖かつ適度な雨量で、気候にも恵まれています。

 

参考:国土地理「都道府県面積の順位」

福岡県の農業の特徴

福岡県では、恵まれた自然条件のもと、多種多様な農業が営まれています。収穫量が多い作物として、いちご(全国2位)や小麦(全国2位)、柿(全国3位)が挙げられます。また、県独自の品種開発を戦略的に展開しており、あまおう(いちご)、元気つくし(お米)、八女茶(お茶)、秋王(柿)、ラー麦(ラーメン用小麦)などが有名です。

福岡県のお米作り

福岡県は、日本の中でも早くから稲作が行われた地域です。福岡市博多区にある板付遺跡からは、日本でもっとも古い水田跡が発見されています。なお、 現在も県南部の筑後平野には、広大な水田が広がっており、全国でも有数の米どころです。

 

森林が少なく平地が多い福岡県の耕地面積は、約7万8,900haで全国15位です。そのうち、田んぼは約6万3,800haで全国14位、九州では最大の収穫量*を誇ります。

 

*令和5年産15万7,400トン

参考:農林水産省「福岡県の農林水産業の概要」

参考:米穀安定供給確保支援機構「お米の都道府県別収穫量(水稲)」

福岡県で栽培されている主なお米の品種

福岡県で作付けされているお米の品種(令和5年産)は、1位「夢つくし(43.5%)」、2位「ヒノヒカリ(27.9%)」、3位「元気つくし(19.9%)」です。いずれも福岡県の推奨品種に採用されており、3品種を合計すると、作付けの割合は91.3%になります。

 

参考:令和5年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の道府県別作付上位品種

参考:福岡県における稲、麦類及び大豆の奨励品種一覧

夢つくし

 

「夢つくし」は、福岡県が独自に開発した品種です。福岡県農業総合試験場において、昭和63(1988)年より「キヌヒカリ」を母、「コシヒカリ」を父として交配し、育種が開始されました。平成5(1993)年には、品種登録に出願されました。そして、翌年から一般栽培が開始されると、作付面積を伸ばしていきます。平成26(2014)年には、福岡県の作付け品種で1位となり、現在も一番多く作付けされています。

 

「夢つくし」は、ツヤと粘りのバランスが良いコシヒカリと、丈夫で栽培しやすいキヌヒカリから、それぞれの魅力を受け継いでいます。コシヒカリに引けを取らない良食味米で、炊き上がりはふんわりとしており、艶やかな光沢ともちもちとした食感が特徴です。

ヒノヒカリ

「ヒノヒカリ」は、宮崎県総合農業試験場が「コシヒカリ」と「黄金晴」を交配して開発した品種です。平成2(1990)年に品種登録がされ、その後は九州を中心に作付けが広がり、西日本を代表する品種となりました。全国の品種別作付割合(令和5年度産)では、1位コシヒカリ(33.1%)、2位ひとめぼれ(8.3%)に次いで、3位がヒノヒカリ(7.4%)です。

 

「ヒノヒカリ」は親のコシヒカリと比べると、お米の粒は小さいですが、その分うま味がたっぷりと詰まっており、噛み応えのあるお米です。

 

参考:米穀安定供給確保支援機構「令和5年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)の 品種別作付割合上位20品種」

 

関連記事:ごはん彩々「ヒノヒカリ誕生秘話 耐性や栽培特性より、「コシヒカリ」と同等という食味へのこだわりが、西の横綱「ヒノヒカリ」を育てた!」 

元気つくし

「元気つくし」は、暑さに強く、かつ極良食味の品種を目標として、福岡県農業総合試験場が開発しました。「ちくし46号(つくしろまん)」を母に、「つくし早生」を父に交配された品種です。平成20(2008)年に品種登録出願され、翌年から一般栽培が開始されました。品種名の「元気つくし」には「夏の暑さにも負けず元気に育つおいしいお米」「食べる人に元気を与えるおいしいお米」という意味が込められています。

 

「元気つくし」は、一粒一粒が艶やかで存在感があり、粘りと甘みが特徴です。また、冷めてもおいしいので、おにぎりやお弁当にも向いています。一般財団法人日本穀物検定協会が実施している「令和5年産米の食味ランキング」では、最高評価の特Aを獲得しました。これは令和2年産から4年連続です。

 

関連記事:ごはん彩々「西の横綱・ヒノヒカリの次代を担ったお米たち(後編)~福岡県元気つくし誕生秘話~」

福岡県で栽培されている他のお米の品種

「夢つくし」や「元気つくし」のほかにも、福岡県農林業総合試験場が開発し、品種登録されたお米があります。ここからは、それぞれの開発経緯や特徴についてご紹介します。

恵つくし

「恵つくし」は、暑さやいもち病に強い品種を目的として、福岡県農林業総合試験場によって開発されました。「ちくし81号」を母に、「西海265号」を父に育成選抜し、交配された品種です。また、「つくしろまん」に代わる品種として、令和5(2023)年から本格的に作付けされ、福岡県の準奨励品種に採用されています。柔らかい食感が特徴の良食味の品種で、冷めても粘りが強く、おいしくいただけます。

実りつくし

「実りつくし」は、福岡県農林業総合試験場が「にこまる」を母に、「元気つくし」を父に選抜育成した品種で、福岡県の準奨励品種に採用されています。暑さで品質が低下することが少なく、おいしいお米をたくさん実らせることから「実りつくし」と名づけられました。特徴としては、大粒で艶があり、粘りのある良食味です。冷めても硬くなりにくいことから、テイクアウトやお弁当などの中食、レストランといった外食産業で多く使用されています。

つやおとめ

「つやおとめ」も福岡県の準奨励品種に採用されているお米の一つです。コシヒカリ系統の「葵の風」を父に、品質・食味ともに安定した「ヒノヒカリ」を母として、福岡県農林業総合試験場で選抜されました。輝くような白さの炊き上がりと、すっきりした上品な味わいが特徴です。

 

ごはん彩々の福岡県産のお米の商品一覧はこちら

ごはん彩々の商品一覧はこちら

まとめ

福岡県は、九州最大の米どころです。

「夢つくし」や「元気つくし」など、いろいろな品種が栽培されていますが、どのお米も粘り・甘み・ツヤの三拍子が揃ったおいしいお米ばかりです。

また、新米の時期だけでなく、一年を通して食味が安定しているのも福岡県のお米が人気の秘密です。 まずは新米から、福岡県自慢のお米を味わってみてください。

 

(おいしいごはん研究チーム)

「この記事どうだった?」
「この記事を見ている人はこんな記事も見ています。」

お米の保存方法 ~ 最適な保存方法 ~

正しい保存方法でお米の美味しさをキープ! 真空パックも過信しないで!

色やツヤが一目惚れするように美味しいお米「ひとめぼれ」

色やツヤが一目惚れするように美味しいお米「ひとめぼれ」

一汁三菜ってどんなごはんのこと?基本の考え方とメニュー例をご紹介

一汁三菜ってどんなごはんのこと?基本の考え方とメニュー例をご紹介

簡単な1週間の献立の考え方!メニューと買い物リストをご紹介

簡単な1週間の献立の考え方!メニューと買い物リストをご紹介